英国オーディオの不朽の名作
60年代に誕生したQUADの名機
33プリアンプと303パワーアンプ
新世代の音楽ファンを喜ばせるべくレトロ・モダンの装いで蘇る
■Introduction
イギリス ケンブリッジシャーで創業したQUAD社は現在に至るまで名機と讃えられる多くのコンポーネントを音楽ファイルに届けてきました。QUADの社名は「Quality Unit Amplifier Domestic」の頭文字をとり、創業者ピーター・ウォーカーの家庭用の高品質なアンプ・オーディオ機器を造りたいという信念から命名されています。QUADの名がオーディオファイルに認識された名機の一つである「QUAD33」と「QUAD303」のプリ/パワーシステムが57年の歳月を経て復刻します。2024年5月にミュンヘンで開催されたハイエンド・オーディオ・ショーでプロトタイプの形で発表されたQUAD33プリアンプとQUAD303ステレオ・パワー・アンプは、2024年に発売されるハイファイ製品の中で最も期待されている製品の一つであります。これは現代のオーディオにおけるレトロ・モダン・デザインの魅力だけではなく、オリジナル・アンプに対しての高い評価を反映しています。1967年に発売されたその革新的な回路設計は、当時のトランジスタ・ベースのアンプを飛躍的に昇華させました。新しいQUAD33とQUAD303は、同じシグネチャー・テクノロジーを高度に進化させ、過去と呼応しつつ近未来を予見させる工業デザインに包まれています。
■History
トランジスタ・ベースのアンプ技術は1960年代半ばにおいては、まだ比較的新しいもので音質の観点から最も高く評価されていたHi-Fiアンプは、バルブ・ベースの回路を採用したものでした。QUAD33プリアンプとQUAD303ステレオ・パワー・アンプはQUAD初のトランジスタ・デザインで、内部は当然ながら外部に関しても非常に珍しいデザインでした。まず、当時のほとんどのトランジスタ・アンプはプリアンプとパワーアンプ、そして多くの場合ラジオ・チューナーが一つのボックスに組み合わされた一体型でした。QUADの設計では、プリアンプとパワーアンプがコンパクトな幅の別筐体のユニットに収められていました。303パワーアンプは縦長でヒートシンクのフィンが目立つ特徴的なデザインで、ユーザーの好みで33プリアンプだけが見えるように収納可能なデザインでした。グレーのメタルケースにオレンジと白のボタン、そしてフラッシュ・マウントされたロータリー・コントロールがアクセントを添える33プリアンプは、303パワーアンプとともに1969年に工業でデザイン協議会賞を受賞しました。今日では、QUAD33のデザインはニューヨーク近代美術館に展示されるなど確固たる地位を確立しています。
■Modern design
技術面においてQUAD社の創設者ピーター・ウォーカーは、QUAD33/303のコンビネーションを際立たせるいくつかの革新的な技術を導入しました。その最たるものが303に採用した「トリプル」トランジスター出力構成技術であります。トリプルトランジスター出力構成回路では、通常のトランジスタ出力と比較して電流の負帰還がはるかに 少なくて済み理想的な熱安定性(出力段の電流が温度変動に実質的に影響されないという意味)を持ち低歪みを生み出します。この革新的な技術によQUAD社はQUAD303を「世界初の低歪みトランジスタ・アンプ」と宣伝しました。オリジナルの「QUAD33」と「QOAD303」のプリ/パワーの組み合わせのサウンドは、当時の典型的なソリッドステート・アンプと比較すると特別なサウンドでした。その豊かなサウンド・スタイルは聴き疲れすることがなく、かつディテールの再現性は卓越したものでした。例えるならそれは優れたバルブ・アンプのいくつかの特性と、コンパクトで効率的に動作するトランジスタ設計の利点を組み合わせたソリッドステート・アンプでした。「QUAD33」と「QOAD303」が1980年代に製造中止となってから約40年が経過した現在でも、サウンド、デザイン、信頼性という観点から愛好家に求められている所以です。
■Evolution of design
「QUAD33」と「QOAD303」の象徴的な工業デザインをそのまま抜本的なオーバーホールではなく、外観の進化を検
討しました。新しい33プリアンプはコンパクトなサイズと形状はオリジナルに忠実ですが、ディテールが強化され、カ
ラーのグレーは「トープ」ではなく、より重厚感がある「マット・シルバー」に変更されています。特徴的なコントロー
ル・レイアウトも同様で、左側にボリューム・ノブ、右側にフラッシュマウントされた3つのロータリー・コントロール
が配置されています。(これらのコントロール機能は多少変更されています)
33プリアンプ同様、新しい303ステレオ・パワーアンプは一目でそれとわかるデザインでありながら、スマートにアップ
デートされています。フロントの特徴的なヒートシンク・フィンは8枚から10枚に増えましたが、オリジナルの303同様
垂直方向の佇まいはそのままで、オレンジ色のスタンバイ・ボタンが追加されたことで、新型303と新型33は外観的にも
より一体感のある造形美に仕上がっています。さらにQUADの音符マークが天面に刻まれたことで、上品なアクセントと
なっています。
QUAD33(プリアンプ)
特徴
Technology
オリジナルのQUAD33が発売された当時の音楽ソースは主にレコードが主流でした。その際にサウンドを微調整するコントロール機能としてバス・トレブル・スロープを備えていました。その後、CDを初めとするデジタルオーディオの普及に伴い、QUAD33の後継機であるQUAD34には、QUAD創設者ピーター・ウォーカーによって考案されたトーン・コントロール機能であるチルトコントロールが追加されました。新しいQUAD33には最新のコンピューターシュミレーションで解析したコントロール機能として、バス・チルト・バランス機能が搭載されています。チルト・コントロールは周波数スペクトラムの両端を同時に調整し、低音を減衰させて高音を持ち上げるか、低音を持ち上げて高音を1dBステップで減衰させる方法があります。基本的には、700Hzを軸に可聴周波数帯域を回転(傾斜)させることで音量を変えたり、または音の音に色を加えたりすることなくサウンド全体のバランスを調整する機能です。オリジナルのQUAD33ではバスおよびトレブルコントロールでトーン・バランスを調整していましたが、この方法では大まかな調整しか出来ず、本来の音楽ソースに忠実とは言えませんでした。新しいQUAD33ではバス・バランスコントロールに加え最新のチルトコントロールを搭載することにより、レコードからハイレゾ・デジタルファイルに至るまで今日私たちが聴く音楽ソースを、本来の音楽性を損なうことなく様々な音楽環境や好みに合わせてサウンド全体のバランス調整を可能にします。
Update
オリジナルのQUAD33は入出力にDINソケットを採用していましたが、新しいQUAD33は入出力系統はシングルエンドのRCAとバランスXLRのミックスに変更され、ケーブルの選択肢と汎用性が向上しています。その他2つの12Vトリガー出力と、ファームウェア・アップデート用のUSBデータ入力も装備されています。トリガーおよびUSB入力はマイクロプロセッサーで制御されていますが、オーディオ信号経路は完全にアナログ信号になります。アナログ信号は高品質なモーター駆動であるアルプス製のポテンションメーターが音量を調整し、バス・チルト・バランス用の3つのロータリー・エンコーダーはデジタル制御の精度を提供しつつも完全にアナログ領域で動作します。オーディオ回路は、当時の画期的なデザインであったオリジナルの設計意図に忠実であると同時に、最新のオーディオパーツを用いてアップデートされています。一例をあげると、低ノイズでカスタム仕様されたトロイダル・トランスや多数のリザーバーコンデンサ、スムースコンデンサを使用して、電源レールを含む全く新しい回路設計を生み出しオリジナルの理念を忠実に踏襲しつつ、そのサウンド・パフォーマンスを格段に向上させています。
Core technology(主な技術)
- ・照明付きLCDスクリーン
- ・低ノイズ・フォノステージ
- ・チルトコントロール
- ・クラシックトーンコントロール
- ・カレントフィードバック・ヘッドホンアンプ
仕様説明
Input Connections(入力接続) |
3系統 RCA 1系統 バランスXLR 1系統 Phono(MM /MC切替可能) |
Output Connections(出力接続) |
1系統 RCA(AUX) 1系統 バランスXLR 1系統 RCA(Pre Out) 1系統 Headphone 2系統 12V Trigger Out |
仕様説明(Power Amplifier Section)
Gain(ゲイン) |
0dB(Line/XLR) +46dB(Phono MM) +63.5dB(Phono MC) |
Input Sensitivity(入力感度) 〈Volt=695mV〉 |
775mV(Line/XLR) 3.8mV(Phono MM) 800uV(Phono MC) |
Input Sensitivity(入力感度) |
10K(Line/XLR) 47K/100pF(Phono MM) 100R/1.7nF(Phono MC) |
THD+N(全高調波歪み率) |
<0.0005%(1kHz,Line/XLR) <0.002%(1kHz,Phono MM/MC) |
Frequency Response(周波数特性) |
20Hz - 20kHz(+/-0.2dB) |
Signal-to-noise ratio(S/N比) 〈A補正〉 |
>108dB(Line/XLR) >82dB(Phono MM) >74dB(Phono MC) |
Output Impedance(出力インピーダンス) |
120Ω |
仕様説明(Headphone Amplifier Section)
THD+N(全高調波歪み率) |
<0.01%(1kHz,50mW) |
Output Impedance(出力インピーダンス) |
2.35Ω |
Load Impedance(負荷インピーダンス) |
20Ω - 600Ω |
一般情報(General Information)
電源電圧 |
100V 50/60Hz |
消費電力 |
20W(スタンバイモード0.5W) |
サイズ |
258mm(W)×82.9mm(H)×165mm(D) |
重量 |
4.0kg |
メーカー保証 |
1年 |
※製品の仕様、外観などは予告なく変更されることがありますので、予めご了承ください。
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