このサウンドでこそ聴きたかった!録音後半世紀を経ても輝き続けるムラヴィンスキー不朽の名盤。
レニングラード・フィルの鉄壁のアンサンブルが炸裂!
[基本情報]
- 品番:ESLG-10004
- 仕様:アナログLP
- レーベル:Deutsche Grammophon
- ジャンル:交響曲
- 厚紙シングルA式ジャケット
- 180g重量盤
録音後60年以上を経ても失われぬ演奏の生命力
20世紀のロシアを代表する巨匠エフゲニー・ムラヴィンスキー(1903〜1998)が、1960年にドイツ・グラモフォンに録音したチャイコフキーの後期交響曲集は、発売以来一度もカタログから消えたことがない不朽の名盤。重厚で輝かしい金管や、コントラバスにいたるまで一糸乱れぬ弦のアンサンブルなど、ロシアの演奏伝統に依拠しつつも、粗野に走らず独自の洗練を感じさせる個性的な解釈は、ムラヴィンスキーのトレードマークです。その中から人気曲・交響曲第5番をアナログ盤でリリースいたします。深い情感をたたえつつも感傷的にならない第1楽章と第2楽章、優美の極みともいうべき第3楽章、そして弦楽パートが疾走する第4楽章など、聴き所は無数にあります。
ムラヴィンスキー/レニングラードの全録音中、ベストのクオリティ
ムラヴィンスキーとレニングラード・フィルは、1960年の10月から11月にかけて、イギリス、フランス、ベルギー、オランダ、イタリア、スイス、オーストリアを巡る長期演奏旅行に出ました。海外への渡航を厳しく制限されていたムラヴィンスキーにとっては、1956年5月〜6月のドイツ、スイス、オーストリアへの演奏旅行以来4年ぶりの西側へのツアーとなり、ショスタコーヴィチの交響曲第8番のイギリス初演(9月23日=BBCによるライヴ収録あり)を含むお得意のロシアものを中心に演目を組み、鉄壁のアンサンブルを披露して、各地の聴衆の度肝を抜きました。この機会をとらえ、ドイツ・グラモフォンはチャイコフスキーの後期交響曲3曲の録音を実施、ツアーの最初の公演国イギリス、エジンバラでの演奏会のあとロンドンで交響曲第4番が収録され、ツアーの最後の地となったウィーンでの演奏会の後、第5番と第6番「悲愴」が収録されました(ロムジークフェラインザールのムラヴィンスキーストロポーヴィチの独奏によるシューマンのチェロ協奏曲やオーケストラ曲の録音は、ツアーに同行したロジェストヴェンスキーが担当)。レニングラード・フィルは、1956年6月の訪欧時にもドイツ・グラモフォンにチャイコフスキーの後期交響曲をモノラルで録音していますが、この時はムラヴィンスキーが指揮したのは第5番と第6番「悲愴」のみで、第4番はクルト・ザンデルリンクの担当でした。
わずか4年での再録音
前回の録音から4年しか経っていないにもかかわらずドイツ・グラモフォンが再録音に踏み切った大きな理由は、1950年代後半に新しく導入されたステレオ技術によってステレオ・レコードを発売したいという点だったと思われます。ムラヴィンスキーは、この時までにソビエトの国営公社であったメロディア・レーベルにも後期交響曲の録音を行なっており(第4番=1958年、第5番=1940年代後半、第6番=1949年)、ヨーロッパでもさまざまなレーベルを通じて発売されていました。それらの録音からも1938年以来強い絆で結びついていたこのコンビ独特の演奏解釈はすでに確立されていることは聴き取ることができるものの、音質の貧しさは西側のそれに比すべくもありませんでした。この1960年録音以降、演奏会のライヴからのCD化もされていますが、音質と演奏両面のクオリティで匹敵する録音はほかにはありません。それだけでなく、ムラヴィンスキー=レニングラード・フィルの全録音の中でも最高のクオリティを誇るものです。
ヨーロッパ屈指の音響を誇るムジークフェラインザールで収録
交響曲第5番は、第6番とともにウィーンのムジークフェラインザールというヨーロッパ屈指の音響を誇る名ホールで収録されました。この大曲2曲をわずか2日間で収録するというのも、ツアー中での演奏の積み重ねを物語るものといえましょう。この時期のドイツ・グラモフォンのサウンドらしい、コンサートホール的な奥行き感がそなわった名録音です。ムラヴィンスキーのソ連録音は概してきめの粗いサウンドの録音が多く、このコンビのこのグラモフォン録音は、オーケストラの備えていた迫力のみならず美感をも余すところなく捉えています。また特筆すべきは、レニングラード・フィルの通常の古典配置と異なり、L→Rチャンネルで、弦楽器を第1ヴァイオリン→第2ヴァイオリン→ヴィオラ→チェロ→コントラバスというモダン配置にしている点。ムラヴィンスキーのステレオ録音でこの配置を採用しているのはこの時の録音だけです。
現在考え得る最高の状態でアナログレコードに
今回のアナログレコードは、オリジナルマスターより「EsotericMastering」にて、新たにアナログレコード専用のマスタリングを行いました。入念に調整されたESOTERICの最高級機材Master Sound Discrete DACとMasterSound Discrete Clock、MEXCELケーブルを惜しげもなく使用し、徹底して高音質化を目指したマスターを作成しました。
アナログ・カッティングは、ミキサーズラボ社にて、アナログ最盛期の名機、ノイマン社製カッティング・レースVMS80を使用しました。同機はアナログレコード最盛期に西ドイツで製造され、現在日本国内では2台しか稼働していません。ミキサーズラボ社のご協力を得て、カッティングルームに「EsotericMastering」の機材を持ち込み、出力をノイマン社製カッティング・コンソールSP79Cにダイレクトに接続。コンソールのイコライザーを使わずに「Esoteric Mastering」サウンドをそのまま、カッティング工程へ送り込みます。
カッティングは、ミキサーズラボ社のカッティング・エンジニア北村勝敏氏。匠の手腕をマスター盤に注ぎ込んで頂きました。カッティングルームに持ち込んだ「EsotericMastering」の機材現在では、レコード・プレス用のマスター盤カッティングのみで、試聴のためだけにラッカー盤をカッティングする事は稀ですが、エソテリックでは音質を追及するため、コンソールへの伝送方式を変えながら複数のラッカー盤を作成しました。
作成した複数のラッカー盤は、エソテリック・マスタリング・センターへ持ち帰り、ESOTERICのアナログターンテーブルGrandiosoT1で試聴・音質確認を行い、最適な伝送方法を決定してます。徹底してアナログの音にこだわりを込めて作成し、オリジナルマスターのもつ情報を伸びやかなサウンドでアナログレコード化することに成功しています。
「眼光紙背に徹した名表現」
「眼光紙背に徹した名表現である。ムラヴィンスキーの指揮ぶりは極めて純音楽的であり、速いテンポでスマートに良く流れ、無駄がなく、表面的にはストレートで淡々としたチャイコフスキーに聴こえるが、実はそうではない。スコアの読みはまことに主観的で鋭く閃きに満ち、まことにユニークかつ変幻自在である。ただ彼はそうした解釈を実際の音に移すにあたって、少しでも客観的に聴こえるように全力を傾けているにすぎない。」(『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.1交響曲編』1985年)
「全体の造形をくずさず、きびきびとしたリズムと端正なフレージングで、ひとつひとつの楽想を厳しく彫琢している。ひたすら音楽の核心を見据えて、それを掘り出し、白日のもとにさらしたような演奏である。強いメリハリがドラマティックな躍動を生み出し、力強く盛り上げていく終楽章のコーダが聴きどころ。」(『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.1交響曲編』1985年)
「これは圧倒的なチャイコフスキー演奏である。地の底から湧き上がるような痛切な悲嘆、灼熱して燃え尽きんとする激情のほとばしり。聴く者を揺れ動く大波のうねりに乗せて、日常を忘れさす。奥行と深い翳りを宿し充実した中低弦、木管の心情のこもった色彩、原初的と呼びたい本来の威力を発揮した金管の凄み、ヴァイオリンの豊かな表情が渾然一体となって、演奏のレンジの幅広さは抜群。きわめて男性的な解釈だが、音楽が暴力的にならないのは、ムラヴィンスキー特有の品格が基本を支えているからだ。」(『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.1交響曲編』1985年)
「現代の演奏にはない怖くなるような気迫と存在感に圧倒されてしまう。まさにロシアの慟哭を聴かせる演奏とでも言えばよいのか。ムラヴィンスキーが再現するチャイコフスキーの世界は、文字通りロシアの風土、ロシアの自然、ロシアの民族、ロシアの歴史を背負って立つ音の営みであり、そこにある岩盤のような音楽の強さと優しさに心奪われる。」(『クラシック不滅の名盤1000』2007年)
[収録曲]
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
交響曲 第 5 番 ホ短調 作品 64
[Side 1] |
[1] |
第1楽章:Andante - Allegro con anima |
[2] |
第2楽章 : Andante cantabile,con alcuna licenza |
[Side 2] |
[1] |
第3楽章 : Valse. Allegro moderato |
[2] |
第4楽章 : Finale. Andante maestoso - Allegro vivace |
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:エフゲニー・ムラヴィンスキー
[録音]
録音 |
1960年11月9日&10日、ウィーン、ムジークフェラインザール |
LP初出 |
LPM-18658(1960年) |
日本盤LP初出 |
SLGM-1023(1961年) |
オリジナル・プロデューサー |
カール=ハインツ・シュナイダー |
オリジナル・レコーディング・エンジニア |
ハラルド・バウディス |
[アナログレコード]
プロデューサー |
大間知基彰(エソテリック株式会社) |
アソシエイト・プロデューサー |
吉田譲(エソテリック株式会社) |
リマスタリング・エンジニア |
東野真哉(エソテリック株式会社) |
リマスター |
2023年7月エソテリック・マスタリング・センター
「Esoteric Mastering」システム |
アナログレコード・カッティング |
北村勝敏(株式会社ミキサーズラボ) |
解説 |
浅里公三 諸石幸生 |
企画・販売 |
エソテリック株式会社 |
企画・協力 |
東京電化株式会社 |
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