若きマゼールがウィーン・フィルを駆り立てて、先鋭・緻密に描き出すシベリウスの熱いドラマ
若き指揮者・音楽監督として飛ぶ鳥を落とすかの勢いがあったマゼールとウィーン・フィルの初録音にしてデッカ録音の最初期の記録。マゼールの鋭敏な感性と刺激に満ちた解釈を刻印した名盤として知られ、発売当時から録音の評価が大変高かったアルバムを、国内盤としては1979年以来約46年ぶりのアナログレコードでのリリース。
ESOTERIC「名盤復刻シリーズ」アナログレコード 2作品発売
ESOTERIC(エソテリック)は、「ESOTERIC名盤復刻シリーズ」アナログレコード2作品を発売いたします。ESOTERIC独自の技術を駆使して開発した「Esoteric Mastering」によるリマスタリングと、拘り抜いたカッティング作業により、「アナログ新時代」を告げる作品に仕上がっています。
レコードの発売当時から録音の評価の大変高かったマゼール盤のLP化
「ffss」(full frequency stereo sound 広帯域ステレオサウンドの頭文字)のロゴで知られるデッカならではの優れた録音技術による鮮明かつダイナミック・レンジが広く立体的なサウンドと相俟って、アナログ時代に高い評価を得ていたLPサウンド、それをエソテリックによるこだわりのアナログ化で実現。今回のLPではリマスタリングによる鮮やかで目の覚めるような音はそのままにアナログならではの、さらなる魅力も再現できるよう心がけました。
ヴァイオリニストとしても輝いていた10代のマゼール
2014年に亡くなった巨匠ロリン・マゼール(1930〜2014)は、1950年代からヨーロッパを中心に活躍した最初のアメリカ人指揮者でした。生まれたのはフランスのパリ近郊、幼時に帰国してロス・アンジェルスとピッツバーグで5歳からヴァイオリン、7歳からピアノと指揮を学び、1939年にニューヨークの世界博でインターロッケン・アーツ・センター管弦楽団を指揮して神童と評判になり、NBC交響楽団やクリーヴランド管弦楽団など各地のオーケストラに招かれた後はヴァイオリンに専念します。彼のヴァイオリンの腕前は指揮&ヴァイオリン奏者として長年行なってきたボスコフスキーの後任として1980-1986年までを、その後も4回、計11回もウィーンの新年を彩るニューイヤー・コンサートを担当したことからもうかがえるというものです。
切れ味鋭い30代初頭のマゼールの圧倒的な輝かしさ
18歳からピッツバーグ交響楽団にヴァイオリン奏者として入団して副指揮者も務め、1953年の年末、シチリア島のカタニアで急病の指揮者の代役でデビュー、そこで成功をおさめたマゼールは。1954年からイタリア各地で活躍、1955年からはスカラ座のコンサートとウィーンにもデビュー、1960年にはロンドン、また《ローエングリン》でバイロイト音楽祭に史上最年少の指揮者としてデビューを飾ります。1964年にベルリン放送交響楽団の音楽監督に就任、翌年からベルリン・ドイツ・オペラの音楽監督も兼任、まさに順風満帆、飛ぶ鳥を落とすかの勢いがあった時代に本作は収録されました。
1963年、33歳の時にウィーン・フィルと録音した当アルバムは、マゼールの鋭敏な感性と刺激に満ちた解釈を刻印した名盤として知られています。またこれは、マゼールとウィーン・フィルとの初録音で、1962年にイスラエル・フィルとの録音で開始されたマゼールのデッカ録音の最初期の記録です。若きマゼール、その華麗なキャリアをスタートさせた時期の溌剌たる記録がここに記されています。
ウィーン・フィルの特徴的な響きを生々しく捉えたアナログ録音
デッカの常駐ホールだったウィーンのゾフィエンザールで行われたセッションは、プロデューサーのジョン・カルショウと録音エンジニアのゴードン・パリーが担当し、ウィーン・フィルの特徴的な響きを生々しく捉えています。ちなみにこのシベリウスの交響曲第1番はジョン・カルショウが担当した唯一の交響曲第1番であり、この作品の後にも彼はこの曲の制作は一切行なっていません。ケルテス指揮のドヴォルザーク《新世界より》と同様に、血気盛んな若手指揮者が老舗のオーケストラにエネルギーを注入し、リヴァイヴさせてゆくさまが見事に記録されています。中でも第3楽章スケルツォの大胆なティンパニの打ち込みや、第2楽章のじっくりとしたクライマックスの築き方などは、若き日のマゼールの面目躍如たる鮮やかさ。ちょうど並行して録音されたチャイコフスキーの交響曲全集とともに、1960年代のマゼールの颯爽たる指揮ぶりを今に蘇えらせてくれます。
この2曲の録音は、マゼールが初来日する1963年に《フィガロの結婚》でデビューを飾ったザルツブルク音楽祭の前後に行われましたが、とりわけ第1番はやや遅めのテンポながらウィーン・フィルならではの洗練された豊潤な響きと多様な表現力を充分に生かした緊張感みなぎる演奏がすばらしく、若かりしシベリウスとマゼールの覇気と情熱が結晶したかのような迫力が伝わってくる名演です。
今回は、国内盤としては1979年以来約46年ぶりのアナログレコードでのリリースとなります。オリジナルマスターより「Esoteric Mastering」にて、新たにアナログレコード専用のマスタリングを行いました。入念に調整されたESOTERICの最高級機材 Master Sound Discrete DAC と Master Sound Discrete Clock、MEXCELケーブルを惜しげもなく使用し、徹底して高音質化を目指したマスターを作成しました。
アナログ・カッティングは、ミキサーズラボ社にて、アナログ最盛期の名機、ノイマン社製カッティング・レース VMS80を使用しました。同機は西ドイツで製造され、現在日本国内では2台しか稼働していません。ミキサーズラボ社のご協力を得て、カッティングルームに「Esoteric Mastering」の機材を持ち込み、出力をノイマン社製カッティング・コンソールSP79Cにダイレクトに接続。コンソールのイコライザーを使わずに、「Esoteric Mastering」サウンドをそのまま、カッティング工程へ送り込みます。
カッティングは、ミキサーズラボ社のカッティング・エンジニア 北村勝敏氏。匠の手腕をマスター盤に注ぎ込んで頂きました。現在では、レコード・プレス用のマスター盤カッティングのみで、試聴のためだけにラッカー盤をカッティングする事は稀ですが、エソテリックでは音質を追及するため、コンソールへの伝送方式を変えながら複数のラッカー盤を作成しました。作成した複数のラッカー盤は、エソテリック・マスタリング・センターへ持ち帰り、ESOTERICのアナログターンテーブルGrandioso T1で試聴・音質確認を行い、最適な伝送方法を決定しています。
徹底してアナログの音にこだわりを込めて作成し、オリジナルマスターのもつ情報を伸びやかなサウンドでアナログレコード化することに成功しました。
「マゼールの数多くのレコード中でも最良のもののひとつ」
「マゼールがまだ充分に若々しかった1960年代に、名門ウィーン・フィルを指揮して録音したシベリウス交響曲全集は、彼の数多くのレコード中でも最良のもののひとつだ。この「第1番」でも、彼はギラギラとするほどの意欲をみなぎらせながら、きわめて熱っぽく音楽づくりと取り組んでいる。彼の意欲のほどがなんともすさまじいので、ときにはオケとの間で鋭いきしみのようなものさえ生まれているのだが、それさえもがとても音楽的で、充分にスリリングだ。」
吉井亜彦『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.1 交響曲編』1985年
「マゼールはウィーン・フィルを指揮してクールで骨っぽいシベリウスを聴かせる。この名門オーケストラから、パワーにみちた若々しいサウンドを引き出した手腕は立派で、ユニークな魅力を持った1枚といえる。」
出谷啓『レコード芸術別冊・名曲名盤500 ベスト・レコードはこれだ!!』1984年
「長いレコーディング・キャリアを持つマゼールはフィリップス、ドイツ・グラモフォン、ソニー、RCAなど、レーベルも多岐にわたるが、野心満々の若きマゼールの名を特にレコード・ファンに印象付けたのは1960年代にウィーン・フィルと行われたステレオの名盤の数々ということになろう。ことにシベリウスとチャイコフスキーの交響曲全集は30歳代のマゼールによって打ち立てられた金字塔としてあまりにも有名なものである。」
諸石幸生『弊社SACDライナーノーツ』より
[収録曲]
◇ジャン・シベリウス(1865〜1957)
交響曲 第1番 ホ短調 作品39「カレリア」組曲 作品11
[Side A] 交響曲 第1番 ホ短調 作品39 |
| [1] |
第1楽章:Andante – Allegro energico |
| [2] |
第2楽章:Andante |
| [3] |
第3楽章:Scherzo |
[Side B] 交響曲 第1番 ホ短調 作品39 |
| [1] |
第4楽章:Finale(Quasi una fantasia) |
| 「カレリア」組曲 作品11 |
| [2] |
I. 間奏曲(モデラート)Intermezzo(Moderato) |
| [3] |
II. バラード Ballade |
| [4] |
III. 行進曲風に Alla marcia |
[詳細]
指揮:ロリン・マゼール
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
| 録音 |
1963年9月(Symphony)、1963年3月(Suite)、ウィーン、ゾフィエンザール |
| LP初出 |
DECCA SXL-6084(1964年) |
| 日本盤LP初出 |
LONDON SLC-1316(1964年) |
| オリジナル・レコーディング |
[プロデューサー]ジョン・カルショウ
[レコーディング・エンジニア]ゴードン・パリー |
※製品の仕様、外観などは予告なく変更されることがありますので、予めご了承ください。