オリジナル・マスター・サウンドへの飽くことなきこだわりと、Super Audio CDハイブリッド化による圧倒的な音質向上で継続して高い評価をいただいているエソテリックによる名盤復刻シリーズ。発売以来LP時代を通じて決定的名盤と評価され、CD時代になった現代にいたるまで、カタログから消えたことのない名盤をオリジナル・マスターからDSDマスタリングし、世界初のSuper Audio CDハイブリッド化を実現してきました。CDの到来とともに世界を席巻したシャルル・デュトワ+モントリオールの名録音の復刻第2弾は、ドビュッシーとラヴェルとのオーケストラ名曲を1枚にコンパイルしました。
■「今は完全に失われてしまったフレンチ・サウンドを、カナダのオケが凍結させたように維持」
「“夜明け”の盛り上がりと“パントマイム”のフランス式フルートの軽くそして官能的な音色の魅力はここにもはっきりと刻まれている。ここで示された彼らの実力が、一部で囁かれた『録音の魔術』ではなかったことが85年の初来日時に確かめられたことは幸いだった。」
『レコード芸術別冊・クラシック・レコード・ブックVOL.1交響曲編』1985年
「音色一つとっても、より純度を高めた清澄な質感があるし、アンサンブルにしても全般にわたって精度が高い。デュトワはそうした同オケの美質を生かし、懐古的ではない現代的な感性と感覚で息づかせる。すなわち、細部まで鮮明でありながら、聴こえてくる音楽は夢想的。唯一無二の美演である。」
『ONTOMO MOOK クラシック名盤大全 交響曲編』1997年
「デュトワの音楽監督就任以来、実力をつけてきたモントリオール響の真骨頂を聴くことのできる最良の1枚。両者はとりわけラヴェルの演奏を残しているが、デュトワの計算しつくされた巧みな設計とオーケストラの一糸乱れぬアンサンブルは、聴く者の心を魅了せずにはおかない。美しい響きを十全にとらえた録音も第1級のもの。」
『クラシックCDカタログ89前期』1989年
「今は完全に失われてしまったフレンチ・サウンドを、遥か数千キロを隔てたカナダのケベックのオケが、凍結させたように維持していたのは脅威としかいうほかない。《海》では金管の合奏が実に柔らかくまろやかで、全く騒々しさを感じさせない。そして弦も木管も反応がデリケートで、まさに痒いところに手が届くといった風情があり、その独特の筆致が一般の愛好家も魅了するところだろう。弱音の美しさを生かした、ニュアンス豊かな表現が心憎く、いかにもフランス近代の作品らしいツボにはまったデュトワ流の音楽づくりが成功した例だ。」
「(ダフニスでは)リズムを明快に弾ませながら瀟洒なセンスを漂わせて、バランス感覚に富んだ名演を繰り広げており、「夜明け」から、クライマックスの「全員の踊り」へと至る巧みな盛り上げ方も聴きどころになっている。ラヴェル特有の高度に洗練されたオーケストレーションを、明晰かつ周到に描き分けることによって、スコアそれ自体が孕んでいる夢幻的な詩情が立ち上がるあたりの見事さも特筆ものであろう。オーケストラとコーラスも優秀だ」
『クラシック不滅の名盤1000』2007年
「25年にわたったこのコンビが作り出した繊細で多彩な音色感や、まるでエーテルが漂っているかのような一種の浮遊感を持った独特の響きは、フランスのオーケストラ以上にフランスの音を奏でるオーケストラと讃えられたものだが、その特質を最善に生かすことができたのは、やはりフランスの作品である。ドビュッシーの作品はその最たるもので、《牧神の午後への前奏曲》における、空間に馥郁たる香りがたゆとうような、甘く柔らかな、しかも透明感に満ちた響き、《海》における、情景を彷彿とさせるような描写の巧みさなど、すべてが超一流である。」
『最新版クラシック名盤大全 交響曲・管弦楽曲編』2015年
「“フランスのオーケストラよりもフランス的”と異名をとったデュトワ&モントリオール響はラヴェル演奏で名を上げた。始まったばかりのデジタル録音の恩恵を受けたこともあり、その鮮やかな音響と洗練の行き届いた表現に心酔したリスナーも多いはず。」
「デュトワ&モントリオール響のドビュッシー録音はいずれも、柔らかい詩情と明晰さの絶妙なブレンドに惹き込まれる名演揃いだと思うが、《牧神の午後への前奏曲》は冒頭のフルート独奏、ハッチンズの吹くひとふし、その極上の美演だけでも歴史に残る。作品のスケール感を曖昧さもなく描き切った《海》の凄さは、デュトワの激しい彫琢こそが達し得た境地だと思う。」
『最新版・クラシック不滅の名盤1000』2018年