Kripton AP-R50/R100の詳しい使い方

Kripton APシリーズ 音質テスト

ルームチューニングを行うパネルには「反射」と「吸音」の2種類が必要です。KRIPTONのAP-R30/15は、一枚のパネルの両面を「吸音」と「反射」の特性を持たせた便利なパネルです。実際に使って音質をテストしました。
実演ビデオはこちらからご覧いただけます。


KRIPTON AP-R100
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KRIPTON AP-R50
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パネルを設置しない場合、3号館ではどのスピーカーが鳴っているのか分からないほど自然な定位が得られている。中央のZingali(大型ホーンスピーカー)の後ろにサーロジックLVパネルを設置しているのが非常に効果的で、スピーカーの中央の幅を広く設置しているにもかかわらず、中央部分の定位が薄くならない

通常の家庭における平均的なスピーカーの設置例。音はスピーカーの正面に向かって広がるため、リスニングポジションでは「中央部」の音の密度が薄くなり、ボーカルが中央にしっかり定位しない。バックの楽器の音(伴奏)の定位も散漫で、音場の立体感にも乏しい。

AP−R50の反射面と吸音面の表示→
反射面を手前に向けて大きく広げて設置軽いパネルなのでスピーカーの間にTVやラックを設置していても、
その都度移動して設置が可能。効果は絶大!

中央部への奥行きと左右への広がりが増す。ボーカルの中央定位も向上するが、元々がかなり良好なため変化の量としては驚くほどではない。パネルの反射音は、LVパネルよりも柔らかくしっとりとしている。

中央部の定位が向上すると共に左右への広がりも拡大する。リスナー前方の音の濁りが消え音場の透明感が大きく向上する。ボーカルが目の前で歌っているように高い密度で定位し、実在感が増す。

吸音面を手前に向けた場合

反射面を手前にしているときと同じ傾向になるが、中央部で音が吸収されるため定位が甘くなる。中央部への奥行きは増大する。

反射面をリスナーに向けた場合、スピーカーから出た音は、パネルに当たって点線矢印の経路で反射してリスナーに戻る。左右への広がりが大きくなるが、中央の密度は薄くなる。吸音面をリスナーに向けた場合、反射音の量が少なくなって効果が小さくなるが、変化の傾向は同じ。


反射面でスピーカーの音がリスナー方向に反射する角度で設置

中央部への奥行きは若干減少するが、ボーカル定位の密度が向上し目の前に歌手が立っている感じが出てくる。中央の音の密度が濃くなり、左右の音の密度は若干低くなるが、両側から体が包み込むように音が広がるようになる。音の広がりはさらに自然で大きくなり、あたかも目の前にステージが出現したかのような自然な立体感が実現する。

中央部の定位が格段に向上する。左右への音の広がりも拡大する。広い角度で設置したときと効果の出方は変わらないが、パネルの角度を狭くすることでボーカルが一歩前に出て、伴奏がその後ろに展開するようになる。パネルがないときとは、比べものにならないほどの立体感と中央部の定位感の向上が実現する。

吸音面を手前に向けた場合

反射面を手前にしているときと同じ傾向になるが、中央部で定位はパネルがないときよりも向上する。中央部への奥行きは、わずかに増大する。

反射面をリスナーに向けた場合、スピーカーから出た音は、パネルに当たって点線矢印の経路で直接リスナーに戻る。スピーカーの中央にボーカルが実在感のある濃い密度で定位するが、交響曲では音が前に出すぎることがある。そのような場合、吸音面をリスナーに向けると反射音の量が少なくなって中央定位とスピーカー中央奥への広がりが両立する。


パネルの角度をさらに狭くする

パネルからの反射がリスナーに返らず、左右の壁方向に反射されるため音場が横長になる。中央部への奥行きは深くなるが、ボーカル定位の密度は薄くなり、全体的に希薄で寂しい音になってしまった。

パネルの角度を狭角にしすぎると中央部の定位が散漫になる。左右への広がりは大きくなるが、パネルを設置しないときの音場に近くなり、あまり面白くない。パネルをあまり狭角にするのは、逆効果になる。

吸音面を手前に向けた場合

左右の音が中央部で遮られ、反対側へと行かなくなるために左右への拡がりが非常に大きく感じられるようになる。音の濁りも激減するが、やはり音は少し希薄になる。左右の壁からの反射が大きすぎる場合にお薦めの設置方法だ。

スピーカーから出た音は、パネルに当たって点線矢印の経路で反射しリスナーにはほとんど戻らない。スピーカーの中央定位は薄くなり、音像が左右に広がって散漫になるが、中央奥行き方向への音の濁りや圧迫感は解消する。


その他の設置例

TVを設置している場合は、上記の方法でパネルをその都度動かしてくるのが効果が大きく、パネルも一枚で済むためお薦めの方法だが、パネルを常設する場合には、まずスピーカーからでる音がスピーカー背後とTV(ラック)で反射しないような左図の位置に設置するのがよい。
この場合、吸音面をスピーカー側にするのとスピーカーとTV(ラック)を遮る位置のパネルを左図のように角度を付けておくのが重要なポイントになる。 ただし、反射/吸音面の使い分けは、部屋の状況によっては逆の場合が良いこともあるので試して欲しい。この方法で中央方向への奥行きと、定位感が大きく向上する。

左右方向への音の広がりと、前後方向への音の広がりを改善するためには、スピーカーの左右外側にパネルを設置するのがよい。左図では、吸音面が内側になっているがこれは部屋が狭い場合に効果的な置き方で、部屋が広い(左右の壁の何画が2.5m以上)ある場合は、反射面を内側にする方が良いと思われるが、試して決めることが重要だ。パネルの角度を変えると左右への音の広がりが変わるので、リスナーを中心にもしくはリスナーの前方に音場が「球状」に広がるようにパネルの位置を調整する。位置が良くないと音場は、前後に広がらず、左右に大きな楕円形になってしまう。パネルの位置を変えても状況が改善しない場合は、TVの前に吸音材(ムートン)を敷く。

贅を尽くした理想的なパネルの配置(3号館メイン試聴室)

中央部にTVやラックがない場合には、左右のパネルを「吸音」中央のパネルを「反射」にして3枚使用すると大きな効果と球状の理想的な音場が得られる。パネルをAP−R50からサーロジックのLVパネルに変えると、音の力強さや明瞭度が増加する。部屋が広い(10畳以上)場合には、LVパネルが効果が高くお薦め。
AP−R100/50はしっとりとした落ち着いた音で、LVパネルは、明快で気持ちよい音が得られる。使い勝手は、軽さ、設置性、調整のやりやすさでAP−R100/50がLVパネルをリードするが、音の良さではLVパネルは他メーカーの追従を許さない。

黄色いのが「LVパネル(反射)」で黒いのが「AP−R100(吸音)」を使用する。反射パネルと吸音パネルを交互に配置することで、音の広がりと豊かな響き、明瞭度、パワー感が完全に両立し、コンサートホールとほぼ同じ音響がリスニングルームで実現する。
中央パネルの位置で楽器を演奏すると、楽器の音が素晴らしく良く響き演奏がし易いことから、このパネルの設置の素晴らしさがよくわかる。 響きがさらに欲しい場合には、緑の位置にLVパネルを追加すると良い。コストはかかるが、絶対に納得できる素晴らしい音響のリスニングルームが実現する。それでも、専用ルームを作るよりは遥かに安上がりだ。

2012年4月に変更した3号館のパネル配置

スピーカーを少し左右に広げて設置し、中央部にパネルを壁面に垂直に配置することで、音の広がりと豊かな響き、明瞭度、パワー感が完全に両立し、中央のB&W 802Diamond、TAD E-1の音質が大幅に向上しました。左右のスピーカーの音が中央でぶつからず、パネルによって左右に反射され、さらにパネルの反射が左右の壁から反射してリスナーに戻ることで左右の広がり感が向上したためです。

中央の垂直配置のパネルは、反射面を内側にする方が音の濁りが少なくなりました。また、TAD E-1とPMC BB-5の間にある小さな吸音パネルを写真の位置から10cm前にすると、音が前に出て、10cm後にすると低音が部屋いっぱいに広がります。小さなパネルですが、低音を遮って部屋全体への低音の回り込みをコントロールし、非常に大きな効果があります。3号館ではこのパネルの移動で各スピーカーの理想的な"鳴り"を出しています。


2012年4月(更新) 逸品館代表 清原 裕介

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